外来看護師は、入院していない患者さんを適切に振り分けていく役割を持ち、俗に「3分診療」とも呼ばれています。スピード感を保ちつつ医師と連携しながら、最適な処置を臨機応変に行う難しさのある仕事です。一方で、外来看護師は夜勤がなく、ライフワークバランスを保ちやすいため看護師の転職先として検討している人も多いです。
今回は外来看護師として転職を考えている人のために、看護師の外来求人にまつわる基礎知識を網羅的に紹介します。
▼具体的には
・外来の仕事内容
・外来の求人情報
・外来のメリット・デメリット
・外来の求人の探し方
の順に解説していきます。
外来求人の特徴を一通り理解できるので、ぜひご一読ください。
外来とは、入院していない患者さんの診療をする場所を指します。外来看護師の職場は、病院とクリニックの2つがメインとなり、通院患者を相手にするため夜勤がなく、ワークライフバランスを重視する方におすすめです。
外来は診療科ごとに設置されているのが一般的で、中でも「緊急外来看護師」は重篤な患者さんが来院する可能性も高く、高度なスキルや対応力を求められます。
外来は短時間内に患者さんの容体の見極めが必要なことから、3分診療と呼ばれています。時には、待ちくたびれた患者さんのクレームの対応もしなくてはなりません。
また、外来の役割は医師の補佐に徹する看護師というだけではありません。入院の短期化や高齢化から65歳以上の外来ニーズが拡大している影響を受けて、「看護外来」として在宅療養を支援する役割へと変化し、注目を集めているのです。
外来看護師の仕事は大きく分けて以下の4つになります。
・医師の診療補佐
・療養相談や患者さんへの指導
・事務
・病棟への連絡・連携業務
「病棟看護師」との違いも含めて、業務内容について具体的に説明していきます。
外来看護師は診療前には、患者さんがスムーズに診療を受けられるよう誘導したり、ヒアリングをしたり診療補佐を行うのが主な仕事内容です。具体的には現在の症状や、本人や家族の既往症やアレルギー、常用中の薬などを聞き出します。これらの作業を行うことで、医師がしっかり状況を把握し、間違いを減らせます。
診療中の補助としては
・服を脱がす・身体を支える・患部を露出させる
・包帯を外し消毒に必要なものを準備する
・血圧などのバイタルサインを測定する
・注射・採血
など多数の業務があります。
治療の相談や患者さんへの指導も外来看護師の大切な仕事の一つです。24時間ケアできる入院患者と異なり、短時間での指導や相談に乗る必要があります。
服薬指導や通院のタイミングの指示は患者さんの病気改善に直接的につながります。医師の治療方針を理解してもらえるよう、わかりやすく伝えるのも外来看護師の役割です。
患者さんによっては、医師に尋ねづらい事もあるので、いかに相談支援できるかは外来看護師の技量によるでしょう。
事務作業も外来看護師の大事な仕事になります。
外来看護師の事務仕事は、大きく分けると次の通りです。
・電話・クレーム対応
・受診受付
・初診時などの患者さんの情報入力
・備品整理(薬品や滅菌物などの消耗品)
・一般事務(カルテ整理、処理など)
・翌日の準備
・診察台のシーツ交換や、使用した物品の片付け
大きな病院では看護師ではなく、事務員がこれらの事務業務を行うことも多いですが、規模の小さなクリニックなどは看護師が幅広く業務をこなします。
業務内容が多いため、頭の中で優先順位を決め、次から次へと作業していく力が求められます。
病棟が存在する外来の場合は、連絡・連携業務も重要な仕事です。外来の診察結果によって、手術や入院、精密検査をする必要があるためです。
外来看護師は、患者さんの入院までの経緯や、外来で行った検査・処置内容を申し送り書にまとめ、病棟看護師に伝えます。
具体的には次のような連携業務を行います。
・精密検査や手術、入院の案内引継ぎ
・ご本人や家族の不安解消
・応急処置の内容共有
患者さんの状況によって慌ただしくなるケースもあり、状況にあわせた対応が必要です。
「外来看護師」の求人に転職する前に、外来看護師に関する求人の傾向を確認していきましょう。
本記事では、「病院勤務看護師」との違いを踏まえた上で大きく分けて、以下の3項目を分析してみました。
・外来看護師の求人数
・外来看護師の給与について
・外来看護師の働き方について
それでは順に見ていきましょう。
ベネッセ看護師 | JobMedley | 看護roo! | |
外来看護師 | 220 | 1351 | 7684 |
病院勤務看護師 | 565 | 1246 | 2684 |
緊急外来看護師 | 17 | 44 | 27 |
2021年5月26日調べ
関東地方 | 関東地方以外のエリア | |
外来看護師 | 190 | 30 |
病院勤務看護師 | 499 | 66 |
緊急外来看護師 | 15 | 2 |
2021年5月26日 ベネッセ看護師調べ
昨今のワークライフバランスを大切にするという観点からも、外来看護師の求人は増えています。病院勤務看護師より求人が多いWebサイトも存在しました。
また、地域ごとの求人では、関東地方は全国の90%弱を占めているという結果になっていて、東京都は圧倒的な求人数を誇ります。母数が多く、人口密度も高いことが大きな要因といえるでしょう。
外来看護師 | 病院勤務看護師 | |
生活リズム | 規則的 | 不規則 |
勤務体制 | 完全週休2日が多い | 4週8休制が多い |
残業 | たまにあり | あり |
肉体労働 | 少ない | 多い |
外来看護師は基本的に夜勤がなく、不規則である病院勤務看護師と比較しても、生活リズムは整えやすいです。病院勤務看護師の中には、プライベートとのバランスがうまく取れず外来看護師へ転職されるケースもあります。
勤務体制についても、外来看護師は完全週休2日が多い一方で、病院勤務看護師は4週8休のシフト制であるケースが多いです。
土曜午前などに営業している病院もありますが、基本的には土日祝日休みが多いので、周りの友人や家族とスケジュールを合わせやすいというメリットもあります。
残業については外来の診療時間は決まっているので、ある程度はスケジュール通りであり、突発的なことがなければ残業は少なめと言えます。しかし、患者さんの混み具合により仕事量の増減はあるため、日によって変わると認識しておきましょう。
最後に肉体労働についてです。
病院勤務看護師は外来看護師と比べ、入院患者さんを抱えているので、介助する回数も多いです。車椅子への乗り降り介助、トイレ介助、食事介助など。体への負担も必然的に多くなります。
外来看護師も基本的に立ち仕事ではありますが、病院勤務看護師のような生活に密着したケアに関する介助はほとんどないため、肉体労働は少なめと言えるでしょう。
平均年収 | 平均時給 | |
外来看護師 | ¥3,984,397 | ¥2,340 |
病院勤務看護師 | ¥4,808,848 | ¥1,576 |
緊急外来看護師 | ¥5,016,102 | ¥2,500 |
東京都 | 大阪府 | 千葉県 | |
外来看護師平均年収 | ¥4,240,995 | ¥3,912,798 | ¥4,100,415 |
東京都 | 大阪府 | 千葉県 | |
病院勤務看護師 | ¥5,044,329 | ¥4,713,326 | ¥4,883,787 |
東京都 | 大阪府 | 千葉県 | |
緊急外来看護師 | ¥5,045,933 | ¥4,681,585 | ¥5,180,424 |
2021年5月26日調べ 看護roo!:https://www.kango-roo.com/km/gairai/
外来看護師の平均年収は約398万円、パートの平均時給は2340円でした。緊急外来看護師と比べると年収は劣り、やや低水準であるといえます。一方で、パートの時給は病院勤務看護師より高く、緊急外来とほぼ同じ水準となりました。
ワークライフバランスを考慮すれば、魅力的な職種ですが、他と比較すると淡々とした事務作業も多く、飽きてしまう人もゼロではありません。
地域ごとに比較すると、東京都、千葉県は全て平均年収を上回っています。関東地方は母数が多く、その分の対価を得られるといえます。
外来看護師は病棟看護師にないメリットも多く、看護師の中でも人気な職種といえます。
メリットだけでなく、その裏にはデメリットがあるので、求人応募する前にどちらも理解しておきましょう。
外来看護師として働く上で、大きく分けてメリットは以下の4つです。
・時間的拘束が少ない
・タスクが多い分、気持ちが楽になることも
・ブランクがあってもチャレンジできる
・肉体労働が少なめ
まずは、他の看護師と比べると、時間的な拘束が少ないことがメリットです。夜勤がなく、残業も比較的に少ないためプライベートの時間をしっかりと確保できます。また、日祝が休みで週2休暇が多いので小さなお子さんがいる方にもおすすめです。
2つ目は、件数多く対応する分、一人ひとりの患者さんには深く関わらないので、気持ち的に安心できる場合もあるという点です。看護師の受け取り方によりますが、病院勤務看護師は患者さんと深く関わる分、精神的なストレスを感じやすい環境といえます。ご自身がどちらの環境のほうがメリットを感じるか、慎重に判断するようにしてください。
3つ目はブランクがあってもチャレンジできるということです。外来看護師の仕事内容は病院によって大きく変わらないので職場復帰しやすいと言われています。子育て中のお母さんナースからも人気が高いです。
最後に、病院勤務看護師よりも肉体労働が少なめな点もメリットと言えます。体力的に病院勤務看護師としての勤務が難しい人は、外来看護師への転職もぜひ検討してみてください。
外来看護師として、働く上でのデメリットは大きく分けて以下の4つです。
・患者さんとの接触時間が短く、効率性を求められる
・待ち時間などによる患者さんさんからのクレームに対応しなければならない
・流れ作業が多く、休憩が取れないケースもある
・看護師としてのスキルアップが見込みにくい
・業務量は多いが、夜勤がないため給与は低め
外来看護師は効率性が求められる点がデメリットに感じる人もいます。
患者一人あたりの対応時間が限られるので、PDCAを素早く回して仕事をしていく必要があります。ゆとりがあるよりも忙しい方が好みの人にはおすすめですが、一つずつの業務スピードがゆっくりな人にはデメリットと言えます。
2つ目のデメリットは、クレームに対応しなければならないことです。人気の病院、クリニックでは、連日多くの患者さんさんが訪れ、診察の待ち時間が長くなることもしばしば…。患者さんによっては診察時にイライラを看護師にぶつけることもあります。外来看護師はそのような人に対してもスマートに対応する度量が求められます。
3つ目に、外来看護師は忙しくて休憩が取れない場合があるのはデメリットです。電話対応や膨大な事務処理を行っているうちに、気付けば休憩をとれずに夕方になってしまった、という人も少なくありません。
4つ目に、スキルアップが見込みにくいということです。
単調な事務作業が多い分、経験できる領域が少ないともいえます。看護以外の業務が多いので、ルーティン化し、将来が不安になる方もいます。単純作業が好きな方には向いているでしょう。ただし受け取り方によっては、数多くの患者対応の中でスキルアップできると感じる人もいるため、一概にデメリットとは言い切れません。ご自身の仕事のスタンスにあっているか、一度考えてみることをおすすめします。
最後に業界では比較的給与が少ない部類に入るということです。
給与が低いのはデメリットですが、その分夜勤や残業が発生しづらい点を理解しておきましょう。お金よりワークライフバランスを優先している方には問題ないかもしれませんね。
外来看護師の求人の探し方は、主に次の3つです。
・ハローワーク
・転職エージェント
・転職サイト
ハローワークは公的な就職支援機関です。全国各地に拠点があり、誰でも無料で利用できます。ハローワークのサポート体制は、民間の転職エージェントよりやや弱い印象が強いので、初めての転職の方は転職エージェントを併用するといいでしょう。
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また、ハローワークや転職サイト以外にも、転職サイトを使って自分で外来看護師の求人に応募することも可能です。
転職サイトは、想定外の業界からスカウトメールを受けとれたり、自分のペースで転職活動ができるのがメリットです。ですが、転職サイトの利用だけでは面接対策や職務経歴書の添削、給与交渉などのサポートを受けられないので、不安な人は転職エージェントを活用するとよいでしょう。
今回は外来看護師の仕事内容やメリット、デメリット、求人の傾向など紹介しました。
・外来看護師はニーズが増え、注目されている
・外来看護師はワークライフバランス重視の人におすすめ
・単調な仕事もあるけど、効率性や柔軟な対応力を求められるやりがいのある仕事
外来は高齢化などの影響を受け、これからの日本を担う仕事へと変化しています。また、病棟やクリニックと異なり、夜勤もなく残業も少ないので注目を集めています。
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