美容医療のなかでも、メイクの知識やスキルが求められるアートメイク看護師。絶えず指名されるような人気のアートメイクアーティストになればフリーランスになれないかと考える人もいるでしょう。
この記事ではフリーランスのアートメイク看護師に必要とされるスキルや、業務委託で働くメリット・デメリットを解説しています。フリーランスで活躍するのはハードルが高い職業ですが、興味のある方は参考にしてください。
アートメイク看護師は美容クリニックでの勤務が一般的ですが、フリーランスという働き方も可能です。
看護師資格とアートメイクの技術を身につけてフリーで働くなら、クリニックに所属する医師の監修・指示によって施術にあたる、業務委託という働き方になるでしょう。具体的には施術1件ごとや施術する特定の日時のみ働くといった契約になります。ただ、看護師の業務委託求人は少ないのが実情です。
また、アートメイクは医療行為であり、医師免許がなければ開業できません。医師を雇って看護師がオーナーと施術を兼任する方法もありますが、医療行為は医師の判断によって行うものです。施術方針は医師が決め、経営方針は看護師が決めるという関係性では、事業を成立させるのが難しいでしょう。
看護師の働き方は、医療法人やクリニックなどに雇用されるものがほとんどです。雇用にはフルタイムで働く正社員待遇の正規雇用だけでなく、雇用期間や時間を制限した派遣やパート・アルバイトといった非正規雇用も含まれます。
対して、業務委託は特定の組織に雇用されるのではなく、双方の合意によって所定の業務を行い、契約ごとに報酬を得るというものです。
なお、業務委託は法律用語ではなく、請負契約と委任(準委任)契約の2つを含んだ表現として使われています。
もし、アートメイク看護師のフリーランスとして業務委託契約を交わすなら、委任(準委任)契約が適用されるでしょう。
請負契約では契約内容の完成によって報酬が発生し、求められる水準に達するまで修正する義務や、対応不備への責任も負うことになります。一方、委任(準委任)契約では完成ではなく、求められた業務を処理するものであり、成果物の完成や責任までは求められません。
アートメイクの施術は医師の指示・監修で行われ、看護師は業務の責任を負う立場でないことから、委任(準委任)契約が適切といえます。
アートメイク看護師として独立・開業するには医師免許、または看護師免許が必須となり、施術技術や美容知識も求められます。アートメイクの施術経験がないまま、フリーランスで働くのは難しく、十分なスキルを身につけなければなりません。
ここからはフリーランスのアートメイク看護師になるための条件を、順を追って解説します。
アートメイクは、皮膚を傷つけて色素を注入したり麻酔を使ったりするため、医療行為であると法律で指定されています。つまり、アートメイクの施術には、看護師か医師の資格が必須であり、無免許では違法行為となります。
看護師免許は4年制の看護大学または看護教育が3年以上受けられる短大や養成校を卒業し、国家試験に合格すると取得できます。
対して医師免許は大学の医学部や医科大学で6年間学んだのち、国家試験に合格して取得できます。さらに病院で2年以上の研修が義務となっているため、看護師よりもさらにハードルが高いでしょう。このように、美容クリニックを開くまでには大変な学習時間と費用がかかります。
アートメイク未経験者が美容クリニック勤務のなかで技術を習得するよりも、アートメイクアーティストのスクールに通ったほうが、効率よく学習できます。
スクールでは皮膚の構造理論や使用する色素の安全性、マシンの扱い方などを学べます。メイクの知識も必要なため、骨格に合わせた眉デザインをデッサンするなど、美術的な要素もカリキュラムに含まれています。
通学形式だけでなく、最近はオンライン授業で学べるスクールも多く、居住地に関係なく受講可能です。オンライン授業は動画教材を視聴するだけでなく、講師とのマンツーマン機会もあり、受け身にならない工夫もされています。
受講費用は学習内容により差があり、眉・アイラインに特化したオンライン完結のコースなら10万円前後。実習を含んだものやリップ・ヘアラインについても学ぶコースなどは、30万円から40万円程度です。実習回数の多いものほど高額な傾向にあり、50万円以上かかるスクールも存在します。
美容クリニックに勤務して、実務経験を積むのも、フリーランスになるためのステップとして重要です。
アートメイクに力を入れている美容クリニックであれば、アートメイク施術経験者から指導が受けられる研修を設けており、働きながらスキルアップしやすい環境が用意されています。
また、アートメイク看護師の仕事は施術テクニックだけでなく、お客様の理想・要望を聞き出すカウンセリングやコミュニケーション能力も必要です。希望を聞き出し、各個人の魅力を引き出すアートメイクを提案できるよう、実務経験を積みましょう。
必要資格やアートメイクのスキルを身につけ、実務経験を通じて指名の途切れないアートメイク看護師になれれば、個人開業も可能になります。
ただし、アートメイクアーティストという職業を名乗っても、施術は医療行為であるため、医師のいる場所でなければ仕事はできません。医師免許を取ってアートメイク専門のクリニックを開業するのでなければ、美容クリニックと業務委託で契約をして仕事をもらう働き方になるでしょう。
美容クリニックでアートメイクを施術する看護師求人は、日勤雇用というものがほとんどであり、業務委託はまれなケースです。したがって、「業務委託でかまわないから当院で施術を担当して欲しい」といわれるほど、多くの指名を得られる存在になる必要があるでしょう。
難易度が高いフリーランスのアートメイク看護師ですが、独立を目指す人に必要なスキルを3つ紹介します。
アートメイクは施術費用が高額であり、数年にわたって顔に残るものであることから、確かな技術と美容知識が豊かなアーティストに施術されたいと思うものです。そのため、アーティスト個人を指名して、遠方の美容クリニックで施術を受けるケースも珍しくありません。
フリーランスとして仕事を受けられるようになるには、多くの人に指名され、クリニックに足を運んでもらえる存在になる必要があります。独立をお考えの方は、早い段階からアートメイクの技術向上に努めを、メイクのセンスも高めることをおすすめします。
フリーランスとして働く場合、施術だけでなく営業活動や事務処理も自身で行うため、これらのスキルも重要です。
営業や広報活動が不十分では仕事が獲得できません。業務委託で働ける案件を探して受注し、ブッキングしないよう、また適度に休みを取れるようスケジュール管理が必要です。
請求書発行や会計業務を行い、正しく確定申告できなければ税務上の問題が発生するでしょう。社会保険や年金についても、クリニックに雇用されるときとは異なり、収入から自分で保険料を納める手続きを取らなければなりません。
こうした経営に関するスキル全般が備わっていないと、業務が滞ります。アートメイクアーティストとしての実力が発揮できなくなるので、適切に処理できるよう経営スキルも身につけましょう。
SNSを使った症例写真の発信は、アートメイクでどのようなことができるのかを具体的に見せられ、効果を訴求できます。また、メイクテクニックや豆知識などを定期的に発信することで、美容知識豊富な存在としてブランディングできれば、固定ファンの獲得も期待できます。
こうした発信によってファンを獲得し、自身をブランディングしていくスキルも、フリーランスで活躍するには欠かせないものです。
業務委託で働く場合、以下のメリットがあります。
・働く時間や休日、取引相手を自分の意思で選べる
・自由な働き方が可能になり、副業・複業も可能になる
・成功すれば収入が大幅に増やせる
業務委託では通常の雇用とは異なり、働く時間や休日を選べるようになります。取引相手も自分の意思で選択でき、意に沿わない仕事をしなくて済むでしょう。極端に好き嫌いで仕事を選ぶのはおすすめできませんが、業務上の人間関係に煩わされることも少なくなります。
病院勤務の看護師では週5日の日勤という勤務形態になり、勤務先以外の仕事にあてられる時間が限られてしまいます。業務委託のほうが働く時間の融通が利き、仕事を掛け持ちも可能です。
働き方次第では、収入を大幅に増やせる可能性もあり、自身の能力が収入に直結するのでやりがいも感じやすいでしょう。
業務委託で働く場合、メリットだけでなくデメリットもあると認識しておきましょう。具体的には以下のような点が挙げられます。
・収入が不安定になりやすい
・施術以外の仕事も自分でこなさなければならない
・人気を維持するにはファンを獲得し自己研鑽を続けねばならない
・アートメイク看護師のフリーランスという存在が認知されていない
自身のスキル次第では収入増が望める働き方ではありますが、常に一定の報酬が約束されているわけではありません。提携先の都合により、突然仕事がなくなるリスクもあるでしょう。また、雇用保険や労災保険が存在しないため、失業したり病気やけがで働けなくなった場合の補償もありません。
事務手続きや経理処理、税務といった仕事もあり、施術だけに専念できないのもデメリットです。
雑務に追われていても、最新の美容について学び続ける努力が必要となり、人気を保てなければ指名が獲得できない厳しい世界でもあります。
そして何より、アートメイク看護師で業務委託という求人募集が少なく、フリーランスで働くという形態が認知されていません。業務委託での働き方を求めても、応じてもらえないケースもあると知っておきましょう。
必要なスキルを身につければ、フリーランスのアートメイク看護師となることも可能ですが、ハードルが高いのが現状です。まずは美容クリニックでの勤務経験を積み、知識や技術を向上させるよう努力しましょう。
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