京都は歴史情緒溢れる街並みや伝統豊かな文化が魅力的で、観光地としてはもちろん、移住先としても人気の高いエリアです。住民の地元愛が強いことでも知られるため、看護師のなかにはUターンを考えている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、看護師が京都へ移住して働くメリットとデメリットを解説しつつ、京都の看護師の給料や勤務実態、求人の特徴などを紹介します。移住者向けの支援制度などもしっかりとチェックしておきましょう。
都市圏で働く看護師が京都に移住を考える場合、大きく2つのパターンがあります。
・進学や就職で京都を離れていたが、生まれ育った京都に戻ってくる(Uターン)
・京都で暮らしたことはないが、これから京都で新たな生活を始めたい(Iターン)
いずれにしても、生活の基盤が都会から地方へ移ることになるので、環境やライフスタイルなどが大きく変化します。したがって、どのようなメリット・デメリットがあるのか事前に把握しておくことが大切です。
適正な医療・介護を行うためには「看護職員7人に対して患者1人(7対1看護)」の割合が推奨されています。患者数が多い地域ほど、多くの看護職員が必要とされ、求人募集も増えるということです。
一方で、あまりに患者数が多い場合には、必要な看護職員数が確保できずに看護者1人当たりの負担が大きくなってしまうおそれがあります。
京都府は人口260万人で全国的にみると高い人口率ではありますが、東京や大阪よりは低いため、7対1看護を実現する病院や施設の求人募集が見つけやすい地域だといえるでしょう。
Uターンであれば、もともと知っている地に戻ることになりますので、生活に馴染みやすく、京都独特の風土や文化に戸惑うこともありません。加えて、実家が自宅から近くなるというメリットもあります。
今は「子どもが小さいから」と日勤を希望している人も、実家の協力があれば夜勤も視野に入れて職探しができます。両親が高齢の場合には、なにかあったときにすぐ駆けつけることができるという安心感もあります。互いに助け合いながら仕事や生活ができるのは大きな心の支えとなるでしょう。
移住して長く暮らすことを念頭に置く場合、出産・子育て環境の充実も欠かせない要素となります。
京都府は「子育て環境日本一」を目指している自治体です。2019年には「京都府子育て環境日本一推進戦略」を策定し、下記のようなあたたかい子育て社会を目指しています。
・子育て環境をサポートする団体の設置
・男性の育休を推進する職場環境づくり
・子育てしやすい住宅づくり
・公園などの確保
また、京都府は都道府県として全国で初めて特定不妊治療の通院にかかる交通費の助成を始めたところでもあります。通院先は府内だけでなく府外も対象となるのはうれしいポイントです。
京都府の賃貸物件(1部屋)の家賃平均は とかなり家賃に差があることが分かります。ファミリー向けの部屋になると、さらに負担は大きいものとなります。
一方で、京都の平均給与は全国的にみて比較的高い傾向があります。令和2年賃金構造基本統計調査によると、 位でした。
ある程度年収を維持しつつ、今より住居費を抑えられる京都への移住は、十分選択肢にはいるのではないでしょうか。
京都府は、東京23区に在住または通勤している人で京都府内の対象市町村に移住し、対象の企業に就業した人に「 」を支給しています。2人以上の世帯では100万円、単身世帯では60万円が支給されるため、ぜひ活用したいところです。お試し移住ができる制度もあり、空き部屋があれば格安で数か月~1年程度お試し用の住宅に住むこともできます。
京都府の設置している「京都ジョブパーク|総合ポータル」のUIJターンコーナーでは、就職に関する相談や情報提供などのサービスがすべて無料で提供されています。そのほか、「 」や「 」なども配置されており、Uターン・Iターン希望者を積極的に支援しています。対面・電話・オンラインでの相談のほか、セミナーや現地見学ツアーなども開催しているので、 Uターン・Iターンに不安や疑問点がある人も移住しやすい魅力があります。
看護師が京都に転職・移住することには、メリットばかりではありません。事前にデメリットを知り、メリットがデメリットを上回るかを検討することが大切です。そこで、以下では京都に転職・移住するデメリットについて紹介します。
Uターンの場合では、知らない地での生活を始めることになります。そのため、思い描いていた生活とのギャップに悩み、ストレスを抱えてしまうことも十分考えられます。
京都は山に囲まれた盆地であるため、夏は暑く冬は寒いのが特徴。北海道や沖縄のように暑さや寒さのどちらかに特化しているわけではないため、人によっては過ごしやすい季節が短いと感じるかもしれません。
また、一部エリアでは、観光地ならではの交通渋滞の悩みもあります。Iターンを検討する場合、まずは京都の暮らし情報を知っておくことが大切です。今住んでいる地域と京都でどのような違いがあるのかを事前に把握するよう努めましょう。
京都府は15市6郡10町1村からなる府です。地域によって人口に大きな差があるため、看護師の求人数や内容にも大幅な差がみられます。
京都市内は総合病院や救急対応病院、リハビリテーション病院などが多く、安定した求人数がありますが、北部や南部では、特別養護老人ホームや訪問看護ステーション、地域密着型病院が多く、都会よりも求人数が少ないのが実情。看護師の募集より准看護師の募集が多い地域もあり、転職先の選択肢が減る可能性もあります。
自宅周辺で仕事を探したい場合、引っ越し後に「希望の仕事が見つからない…」といったことにならないよう、事前に移住先周辺の求人をチェックしておくようにしましょう。
京都府全体の平均年収は比較的高いものの、地域によっては給与相場が下がることもあります。とくに郊外・田舎地域は、都会に比べて物価が安い傾向にあることから、給与や時給が今より下がってしまうことも覚悟しておかなければなりません。
ただし、地方は生活にかかるコストも都会に比べて低いことがほとんどです。多少収入は下がるかもしれませんが、支出も下がってトータルの収支で見れば今とあまり変わらないという可能性も十分に考えられるでしょう。
看護師の京都への移住は魅力も多いですが、注意しておきたい点をいくつか紹介します。都会とは異なる京都ならではの事情をしっかりおさえておきましょう。
京都府は地域によって人口に大きな差があるため、地域ごとに交通の利便性も異なります。最も人口が集中している京都市では鉄道やバスの便数も豊富ですが、京都市中心部から離れるほど、公共交通の手段や便数は減少します。
京都に限らず、どの地方においても都市部から離れるほど公共交通の利便性が低く、運転免許が必要になることが多いのが現実です。住む地域によっては運転免許は、取得しておくと安心でしょう。
京都は伝統やしきたりを大切にする地域です。地域の特徴は、人柄や人づきあいにも大きく反映されています。
京都では本音と建前をはっきり分ける傾向があり、「いけず」と表現されることもあります。一方で、地域行事に積極的で地域コミュニティが十分に形成されることから、子育てや困りごとがあっても地域に助けてもらうことができます。一度人間関係を築ければ、これほど心強いことはありません。
特にIターンで移住する場合は、柔軟な感覚で誠実に対応することで、自ら地域に溶け込む努力が必要となるでしょう。
新しい土地での転職は情報不足で失敗することもあるため、京都での看護師事情や転職事情を把握するようにしましょう。
京都の看護師・准看護師の求人では、教育指導や研修制度、資格取得支援が充実している施設が多いのが特徴です。なかには、働きながら認定看護師・専門看護師の資格取得ができるようサポートしてくれる職場もあります。
ただし、職場の実情が求人通りでないこともままあります。知人に詳細を知る人がいない場合、看護師転職のエージェント、特に地元の転職エージェントを活用するようにしましょう。地域ならではの転職事情や各職場の内情に精通しており、希望に合う転職先が見つかりやすくなります。
京都に移住や転職を決める前に、京都の看護師の給与や労働時間など求人の特徴は知っておきたいところです。そのためには、京都府内で求人情報が多い市区町村を調べたり、各求人の詳細をチェックしたりして、積極的に情報を集める必要があります。
以下では京都の看護師求人の特徴を解説しています。自身で調べる前にぜひ参考にしてください。
によると、京都府の看護師の給与平均は月給約33.7 万円、ボーナスを含めた年収約489.2万円で、全国平均である看護師の年収約483万円を上回っています。
男性看護師のボーナスに関しては、勤続年数が全国的にみると比較的短いこともあり、約78万円と平均金額より低くなっています。一方、女性看護師の場合は、勤続年数は全国平均よりも短いにもかかわらず、約86万円と平均金額より多くなっています。
京都は、1回あたりの も全国平均より高い傾向があります。二交代制勤務の夜勤手当は、全国平均が11,286円、京都府12,546円です。三交代制勤務の夜勤手当は、全国平均が5,122円、一方京都府は6,763円と、全国的にみてもかなり高い金額といえます。
転職活動をするときは、このデータをふまえて求人情報をチェックするとよいでしょう。
京都府の多くの求人案件では、1ヶ月当たりの所定労働時間は151~160時間程度となっており、全国平均よりも若干短い傾向があります。比較的ワーク・ライフ・バランスを実現しやすい環境だといえるでしょう。
ただし、超過実労働時間は全国平均よりも多い傾向があるため、転職の際は残業がどの程度あるのかしっかりと確認しておくことが重要となります。
京都府内で看護師求人が多い市区町村は、政令指定都市として栄える京都市、観光地として有名な宇治市、北部に位置する福知山市の3つです。
京都府内で最も求人情報が多い京都市は、総合病院や救急対応病院のほか、回復期・慢性期・精神科など特色のある病院からの専門性の高い求人も豊富にあります。宇治市は、地域密着型病院やグループ法人の福祉事業施設が多いエリアです。急性期から在宅療養までを支えるため、正社員だけでなく、非常勤の求人も充実しています。福知山市は療養型施設や訪問看護ステーションが多く、託児所を完備する事業所もみられます。
ただし、木津川市・乙訓郡大山崎町・相楽郡精華町・ 船井郡京丹波町・与謝郡与謝野町など田舎地域では求人が少なくなります。周辺の求人数を考慮して、住む地域を決めましょう。
京都で転職活動を行うためには、全国区の大手転職エージェントに加えて、地元である京都の看護師転職情報に詳しい転職エージェントの利用がおすすめです。
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